ジョギングは脳の活性化に効果的という研究結果

ジョギングの効果

人はそれぞれ、十人十色の理由をもって走りだします。健康のためだったり気分転換だったり。
そして走ること、とりわけ有酸素運動の代表格であるジョギングには様々なプラスの効果があることが知られています。
適度に筋肉をつけて余分な脂肪を落として身体を引き締めるダイエット効果はもちろん、高血圧や糖尿病、心臓病といった成人病のリスクを減らしてくれます。
また、肌の老化の進行を遅らせるアンチエイジングの効果があることも様々な研究でわかっています。

ジョギングは脳のアンチエイジングにも効果的

脳の神経細胞は加齢とともに減少

人間は、いわゆる「青年期」と呼ばれるような年齢をピークに、様々な機能が徐々に衰えていきます。
脳の機能も例外ではありません。
一般的に何かを記憶したり、逆に思い出したり、あるいは記憶したものをベースにものを考えて問題解決をするという高次の脳の機能は年齢を追うごとに衰えていってしまいます。
そして、その衰えの大きな要因の1つが、脳の神経細胞(ニューロン)の減少なのです。脳には膨大な量の神経細胞があり、これらの神経細胞を通して記憶や想起、思考などの認知的な活動を行っています。神経細胞は「細胞」と名がつく通り、新陳代謝を繰り返します。つまり、一定時間が経つと古い細胞は死に、新たな細胞が生成されることで脳の機能が維持されます。
しかしながら、加齢とともに、この細胞を生成する能力が次第に衰えていってしまいます。細胞の死滅のペースに生成する能力が追いつかなくなると、脳の中の神経細胞は全体として減っていってしまいます。これが脳の認知機能の衰えにつながるのです。

ジョギングが神経細胞の生成を活発に!

そんな中、2016年2月、海外でエクササイズと脳の機能に関する研究結果が発表されました。
従来、「運動は脳の機能の改善に良い」という研究はいくつかあったのですが、具体的にどういった運動が最も効果的なのかということを明らかにした研究はほとんどありませんでした。
今回発表された研究は、運動の種類と、脳の神経細胞生成機能の関係を具体的に示したもので、とても興味深いものでした。

以下は、その研究結果を紹介しているニューヨーク・タイムズの記事の一部抜粋です(中略は私が入れました)。

Some of the animals were given running wheels in their cages, allowing them to run at will. Most jogged moderately every day for several miles, although individual mileage varied.

Others began resistance training, which for rats involves climbing a wall with tiny weights attached to their tails.

Still others took up the rodent equivalent of high-intensity interval training. For this regimen, the animals were placed on little treadmills and required to sprint at a very rapid and strenuous pace for three minutes, followed by two minutes of slow skittering, with the entire sequence repeated twice more, for a total of 15 minutes of running.
…(中略)…
Those rats that had jogged on wheels showed robust levels of neurogenesis.
…(中略)…
There were far fewer new neurons in the brains of the animals that had completed high-intensity interval training.
…(中略)…
And the weight-training rats, although they were much stronger at the end of the experiment than they had been at the start, showed no discernible augmentation of neurogenesis.

この研究、何をしたかというと、ラット(ねずみ)を
1.ほどほどのペースで1日数マイル走るグループ
2.しっぽにウエイト(重り)をつけて、壁を登らせることでウエイトトレーニングをさせるグループ
3.小さなトレッドミル上でインターバルトレーニングをさせるグループ
4.なにもさせないグループ(比較のためのグループ)
の4つのグループに分けて、同じ運動を毎日、7週間続けさせました。
そしてその後、彼らの脳の神経細胞がどのような働きを示したかの検証を行いました。

その結果、
・1のジョギンググループは、4のグループに比べて脳の神経細胞の生成機能がとても活発であった
・3のインターバルグループは、何もしない4のグループよりは活発だったものの、ジョギンググループに比べてその活発度合は低かった
・2のウエイトトレーニンググループは、筋力的には開始時よりもかなり強くなったものの、脳の神経細胞の生成度合は何もしないグループと差がなかった
という結果が出ました。

脳の神経細胞の生成活発度は脳の認知機能と関係があるので、この実験の結果は、ジョギングなどの有酸素運動が認知機能の衰えを改善(少なくとも衰えを阻止する)ということを示唆しているといえます。
もちろんこれはラットの結果ではありますが、有酸素運動が認知機能の改善につながるという人間をベースにした研究もたくさんあるため、今回の結果も人間にある程度あてはまると考えてよさそうです。

続けることが大切

ジョギングは脳の機能にとても効果的というこの研究結果、老化をできるかぎり止めたいと考える私たちにとってはとてもうれしいものですが、ここで一つ重要なのは、この実験も「7週間」続けたというところです。
明日気まぐれにちょっとジョギングをするだけで認知機能が改善するのではなく、それを続けることが重要です。

この記事を読んでいる皆さんの中で、普段から継続的にジョギングをされている方は、この記事の結果をモチベーションにしてさらに続けてもらえたらうれしいです。
また、この記事を読んで「じゃあ自分もジョギングを始めてみよう!」という方、ジョギングは最初はしんどいですが、しばらく続けることできっと楽しくなる瞬間がやってきます。ジョギングは何度か挑戦したけど、なかなか続かなくて・・・という経験をされている方も多いと思いますが、動機づけに関する投稿も書いていますので、もしよかったら参考にしてみてください。

身体はもちろん、頭もずっと健康でいられるようがんばりましょう!

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