ネトゲ廃人

芦崎治著(新潮文庫)

いわゆる「ネトゲ廃人」と呼ばれている,オンラインゲームにのめり込むあまり,実生活に支障をきたしてしまった人々にインタビューを行っている.
どのような経緯でオンラインゲームにのめり込むようになってしまったのか,そして,のめり込んだ結果生活がどのように変わってしまったのか.さらに,その状態から脱せられた人は,何がきっかけで日常生活に戻ることができるようになったのかという本人の体験談を詳細に記述している.
また,ネットゲーム先進国と呼ばれる韓国を引き合いに出し,韓国の現状およびネットゲーム中毒者に対して,国家機関がどのような方針を持ち,どのような対処を行なっているのかを紹介している.

このようなオンラインゲーム中毒者,インターネット中毒者に対して,日本でも問題視はされているものの,韓国のように国を挙げて対策を講じるというところまでにはまだ至っていないように思われる.

インタビューを読んでいると,インターネットの性質というものはもちろんであるが,それ以外にも様々な要因がインタビュイーをネットゲーム依存に導いたのだろうということが推察できる.

ネット自体は大変有用であるし,今となってはなくてはならないものになってしまっている.しかしその背後ではこのような影が存在していることを意識させられ,今後のインターネット世界がどのようになるべきなのかということを考えさせられる一冊である.

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